2008'03.26 (Wed)
王妃の紋章
試写会です。
良くも悪くも中国映画。
チャン・イーモウ監督。チョウ・ユンファ、コン・リー、ジェイ・チョウ出演。
一流どころを使ってるし、衣装も象徴的で豪華絢爛でキラキラなのに、このスカスカ感は何?
いや深読みする人には楽しいですよ。隙間を知識と想像力で埋めると、いろいろな解釈が成立しますから。王妃が愛してたのは王か皇太子かでも話は正反対になるし、母として自分の長男を王位につけたかったとも解釈できるし、王=国家とすれば、体制批判という解釈も可能。懐が深いとも取れるけど、監督も何がやりたかったか途中でわからなくなった?チャン監督って割とそういうのが多いですね。
そして、自分なりの解釈をするには中国人のメンタリティが理解できないのが辛い。多少むちゃくちゃでも「茶々 天蓋の貴妃」ように、宝塚の男役トップとはを理解していたらOKという核があれば大丈夫なのですが、拠りどころがないから???になってました。
まあ、キラキラしい衣装と道具立て、CGも使うけど人を使った方が安いという中国の力技な映像を楽しめばいいでしょう。
kinkachoは「チラシに唐末期とあるけど、五代十国時代じゃん。梁ってことはどのあたりだ?」と必死で記憶を紐解いてました。
映像の終盤、王妃とその長男が謀反を企んで王軍にせん滅されるんですが、反乱軍を虐殺して後、人海戦術で死体を始末して宮殿を洗って元通りにするシーンは、オリンピックもこんな感じでやっちゃう?と背筋が寒くなりました。
明日はハリウッド作品「フィクサー」の試写会。今日と違って緻密な脚本だと期待します。
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2008'03.26 (Wed)
死神の精度
伊坂幸太郎著。この著者は初めてです。
今、映画公開中ですね。映画主演の金城武がけっこう好きなので映画見ようかなと思っていたのですが、映画評がイマイチなので原作でいってみました。金城武の映画は「不夜城」「リターナー」「ラバーズ」と何故か見ています。あのアジアだけど、濃い目の顔が好きなのか、日本語が下手なのでセリフが少ないところが好きなのか、微妙なところです。金城武って、流暢に話す割りに日本語は下手だと確信しています。
というわけで、kinkachoの脳内映像での主人公千葉(死神)は金城武の顔でした。
原作は6本の短編を集めた連作です。一貫して出るのが、人間の死が「可」か「見送り」か判定する死神・千葉。雨男で、ミュージック好きでCDショップの視聴機前で、ラジオの前で、カフェのBGMでミュージックを堪能しているという設定。判定を下す相手の人間と関わるのは関わるけど、いたって希薄な関係で1週間を判定に費やす。この希薄さが今風じゃないですか。それでもほんわかした味になるのは殺伐とした世間の、自分を押し付けてくる人間関係より死神・千葉の関わり方が節度があるからでしょうか。この6本の短編は微妙につながっていて、けっこう長い時間の流れが時系列に並んでいるようです。この「ようです」と思わせるところが味ではないですかね。
kinkachoは短編連作というのが好きです。昔では眉村卓「司政官」シリーズ、田中光二「異星の人」シリーズなんかとても好きでした。でも、人気が出ると長編になってしまって、長編になると面白くなくなるのが多かったのでがっかりすることが多かったです。(「司政官」はそんなことなかったですが)いずれも、傍観者の視線で書いたところが好きだったのに、長編になるとその立ち位置がゆらぐのがダメだったのだと思います。
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