2008'03.31 (Mon)
桃夭記
井上祐美子著。
著者得意の中国物の短編集。中国の怪異物と言えば「聊齊志異」ですが、その中に紛れていても違和感のない小品が4編です。
最後の「墨匠伝」墨を作る職人の話を読んでて書道を思い出しました。
文房四宝の一つとして珍重された墨です。意匠を凝らした墨は芸術品です。
kinkachoは長らく書道をやってました。小二から社会人一年生までですから長いですね。だから墨は週一度は摺るものでした。墨汁という便利なものがありましたが、もちろん芸術品のような墨ではありませんが、何故か摺る墨を愛好していました。 墨汁の均一な黒さでは物足りなかったんですね。にじみ、かすれ、濃淡が出るのはやはり墨でした。書く字によって摺り具合を変えてました。隷書、楷書は濃いめに、かな、草書は薄めにとか、色紙は半紙よりにじむからなとか加減があるんですよ。
そして、行き着く先はいろいろあるのですが、kinkachoが行き着いたのは条幅でした。畳一畳よりちょっと小さいぐらいですの半紙です。軸装すると掛軸になるあれです。
書道もいろいろあるんです。
かなのちらしがき、中国古典の臨書、写経、篆刻なんて印鑑作りですよ!
kinkachoが好んだのは条幅でした。
条幅を書くのは体力勝負です。ジャージ着用で、床に下敷きを敷き、人を殴り殺せそうな文鎮で紙を押さえて、それ用の筆で一気勝負!5枚も書くと集中も体力も切れます。
そのための墨ですが、摺り溜めします。毎日せっせと摺ってビンに溜めておきます。保存は冷蔵庫使用。墨はススと膠なので腐ると強烈に臭うんです。
一枚仕上げるのにひと月。一枚の半紙に対しては一発勝負でも、一作には練習あるのみでした。
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