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2014'01.11 (Sat)

読み応えあり

今年は新年早々面白い文庫を探し当てました。

鹿島茂著
「パリ、娼婦の館 メゾン・クローズ」
「パリ、娼婦の街 シャン=ゼリゼ 」

鹿島茂氏の(たぶん)最初の一般書「明日は舞踏会」という本がいかにも女性が好みそうな題材だったのですが、その後はちょっとエロティックな著書が増えてきたなと思ったら、ついに「世界最古の商売」そのものを扱う本が出ました。
単行本が先行していますが、文庫化に当たって二分冊となり加筆もされています。

娼婦の館は娼館での、娼婦の街では街娼の「世界最古の商売」の様子を活写します。
扱う時代は近世から二次大戦後禁止法が公布されるまで。

資本主義が台頭し、該当に商品が溢れるのにそれを購入する財力が女性になかった時代、財力を得るために女性がどうしたのか。
「世界最古の商売」と言われるが、その隆盛は資本主義と見事にリンクしている。

そこらへんを難く描くのではなく、史料を引用したり、文学を利用したり、実にわかりやすく、一般教養書として興味が持てるように書かれています。
ゾラの「居酒屋」「ナナ」の引用、マリー・デュプレシス、リアーヌ・ド・プージィなどの高級娼婦のエピソードなどなど実に読みやすい構成になっています。
大著ではありますが、この時代のパリの裏社会に興味のある方は一読をおすすめします。

ちなみに、この時代の一級史料が洋行した日本男性の著書というのがなんとも興味深いと思いませんか?
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