2008'03.26 (Wed)
死神の精度
伊坂幸太郎著。この著者は初めてです。
今、映画公開中ですね。映画主演の金城武がけっこう好きなので映画見ようかなと思っていたのですが、映画評がイマイチなので原作でいってみました。金城武の映画は「不夜城」「リターナー」「ラバーズ」と何故か見ています。あのアジアだけど、濃い目の顔が好きなのか、日本語が下手なのでセリフが少ないところが好きなのか、微妙なところです。金城武って、流暢に話す割りに日本語は下手だと確信しています。
というわけで、kinkachoの脳内映像での主人公千葉(死神)は金城武の顔でした。
原作は6本の短編を集めた連作です。一貫して出るのが、人間の死が「可」か「見送り」か判定する死神・千葉。雨男で、ミュージック好きでCDショップの視聴機前で、ラジオの前で、カフェのBGMでミュージックを堪能しているという設定。判定を下す相手の人間と関わるのは関わるけど、いたって希薄な関係で1週間を判定に費やす。この希薄さが今風じゃないですか。それでもほんわかした味になるのは殺伐とした世間の、自分を押し付けてくる人間関係より死神・千葉の関わり方が節度があるからでしょうか。この6本の短編は微妙につながっていて、けっこう長い時間の流れが時系列に並んでいるようです。この「ようです」と思わせるところが味ではないですかね。
kinkachoは短編連作というのが好きです。昔では眉村卓「司政官」シリーズ、田中光二「異星の人」シリーズなんかとても好きでした。でも、人気が出ると長編になってしまって、長編になると面白くなくなるのが多かったのでがっかりすることが多かったです。(「司政官」はそんなことなかったですが)いずれも、傍観者の視線で書いたところが好きだったのに、長編になるとその立ち位置がゆらぐのがダメだったのだと思います。
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