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2010'05.19 (Wed)

コテコテです…玉砕します

「フロム・ヘル」上・下
アラン・ムーア (著)
エディ・キャンベル (イラスト)
柳下 毅一郎 (翻訳)
みすず書房発行

上下合わせて5460円というお値段にもびっくりですが、みすず書房が漫画を発行したのもびっくりでした。
2001年公開のジョニー・デップ主演の映画の原作でもあります。
kinkachoはこの映画が大好きです。
妻子を亡くし、失意から立ち直れずアヘン窟に出入りしているジョニーの裏ぶれ度が胸キュンものです。
kinkachoとしては、このアバーライン警部がスパロー船長より好きです。
ヴィクトリア朝最大のミステリー「切り裂きジャック」事件を扱っているので、猟奇、グロテスク、流血が続きますが、その表現でかえって、そこはかとないロマンチシズムが際立ちます。
甘いと言えば甘いのですが、ジョニーが出てるのですから、このぐらいの甘さは欲しいですね。

さて、この漫画、「グラフィック・ノベル」と銘打たれるだけのことはあります。
下手な小説よりと言うか、小説よりはるかに読み応えがあります。
映画よりはるかに厳しいです。何度、撤退しそうになったことか…
日本のマンガの自由奔放な描写に慣れている日本人には、このガチガチの固い表現がまず高いハードルになることと思います。きっちりしたコマ割り、いかにもペンで描きましたという描線、トーンやフラッシュのない画面、抑制の効いた微細まで描いた表現(でもグロテスク)などなど、日本のマンガとは対極の表現様式です。
その表現であの血まみれの猟奇事件を展開し、哲学的、観念的要素を盛り込んであるので、混沌として難解極まりない作品に出来上がっています。
コテコテで吐き気がしてくるというのが、kinkachoの正直な感想です。
まあ、この本を購入して読もうと思った人には今更不要でしょうが、切り裂きジャック事件に関してある程度の知識は事前準備として頭に入れておく必要があります。社会的背景は当然として、ロンドンの都市としての成り立ち、イギリスの王室の人物、切り裂きジャックの犯人に関する諸説は基礎知識として要求されます。
そこらへんがお好きな方は、この本の注釈とか補稿を読むと知識欲を満足させることができます。

日本だったら、そこらへんのちょっとペダンチックなところも含めて、この原作を平野耕太(「ヘルシング」の作者)でマンガ化して欲しいと思うkinkachoでした。きっと、何もかもふっとばして、破滅的でアナーキーなエンターテイメントになって、すごく(ある意味、原作もふっとばして)面白いと思うのです。
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Comment

●切り裂きジャック

今晩は。

あ、もう読破されたんですね!やっぱ気合ですか?(笑)

ジョニデの「フロム・ヘル」は悪くはないんだけど、私的にはちょっと食い足りない感じでした。ラストがちょっと物足りなくない?v-37
映画全体の雰囲気や、ジョニー・デップ自体は悪くないんだけど。

「切り裂きジャック」の事件は、当時の資料とか見てると、ホント途中で具合悪くなってきますよね。v-12
そう言えば、パトリシア・コーンウェルも関連本だしてましたよね。私、コーンウェル好きじゃないんだけど、切り裂きジャックはちょっと気になってます。
ごみつ | 2010年05月19日(水) 22:25 | URL | コメント編集

●気合いでした

ごみつさん、こんにちは。
ブログに書くぞ!という気合いで読破でした(笑)読み難いのは確かです。
切り裂きジャックはオタクの基礎教養なので関連本は読んでいたのが幸いでした。
大学の教養過程の担当教授がヴィクトリア朝時代の社会史が専門だったのも幸いでした。
妖怪学の小松教授といい、訳のわからん教授が多い教養学部時代を過ごしたおかげで、オタク度が上がったkinkachoです。
映画版はあの緩い甘さが好きなんです。
kinkacho | 2010年05月19日(水) 23:03 | URL | コメント編集

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